2010年6月30日水曜日

ダイナソー


小さい頃、間違って刃物で頬をすっぱり切ったことがある。けっこう深く切ってしまって、血がたくさん流れたのだけど、切れた瞬間は全く痛みを感じなかった。驚く家族の声に驚いて覗き込んだ鏡の中には血まみれの私がいて、それを知覚した瞬間にじんじんと激しい痛みがやってきた。

もちろんすぐさま病院に直行。黒くて太い糸で傷口を縫われてわんわん泣くわたしを慰めるために看護婦さんが「すぐ終わるからね」と声をかけたら、お医者さんが「まだおわんないよ!そんなこと言うもんじゃないよ」と怒っていたのを覚えている。

なにかがわたしのこころを傷付けた瞬間、わたしは自分が傷ついたことに気づかない。ほんとうの痛みは遅れてやってくる。わたしが恐竜並の鈍さってことかもしれないけど。

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