2013年3月24日日曜日

ルビー・スパークスと作家のスランプ




日本でもヒットを記録した『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督が6年ぶりに手がけた新作。19歳でデビューし天才小説家ともてはやされたカルビン(ポール・ダノ)だが、第2作を書けないまま10年の時間が過ぎた。カルビンが夢で見た女をルビーと名づけて文章を書き始めると、ある朝、ルビーが目の前に現れ、二人は恋人同士になる。自分が創作した女は意のままだ。カルビンがそう書けば、ルビーはフランス語を流暢に話すし、急に踊りだすのだ。

これも飛行機で見たんだけどなんか長くなったので。

私の友人には映画が得意でない人が多い。彼らは「何時間も座って何かを見させられるのが苦痛」「人のつくりごとにどうして付き合わなければならないのか」と言う。私は何時間も座って他人の空想ごとに付き合うのが好きなほうだが、この作品を見てちょっと彼らの気持ちがわかった。「主人公は僕だった」や「トゥルーマンショー」みたいに、リアルだと思っていた世界が虚構だったことに主人公が気づくという仕組みならまだ感情移入して見られるのだけど、ピグマリオンをポップで可愛く現代化したみたいな感じで、主人公のキャラクターなども薄かったので、「なんで君の妄想に僕が付き合わされなくちゃいけないのかね」という気持ちになってきて、10分で見るのをやめてしまいました。でも主人公のナード感とか女子のカワイさとか、キャスティングはすごくいいと思いました。

単純に、「これはジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督が本当に撮りたいものだったのか?」と疑問がわきおこってくるのですが、映画の主人公みたいに、特に撮りたいものがないスランプだったんじゃないかと思います。撮りたい主題がないなら映画を撮らなくていいと思うけど、プロの映画人だとそういうわけにもいかないんだろうな。

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