2009年4月14日火曜日
映画「フロスト×ニクソン」
ウォーターゲート事件で大統領を罷免されたニクソン元大統領にインタビューするイギリスの奥様番組司会者フロスト。フロストにとってそのインタビューは自らの私財をなげうって、ただアメリカで成功するための足がかりだった。ニクソンにとっては、数億円相当のインタビュー代を稼ぎ、扱いやすいインタビュアーを利用して自分のやったことを正当化し、政界へ舞い戻るための手段だった。
しかしこのインタビューは、テレビカメラの前で世界中の視聴者の視線に晒される時にその性格をがらりと変える。フロストはアメリカの憤りを背負い、ニクソンに挑むことになる。ニクソンは長年の政治生活で培った狡猾さで、まるで錬金術のようにフロストの問いを自分の都合のよいように変えてしまう。
インタビューで勝つのはどちらか一人だけ。全財産をインタビューのために使ったフロスト、恩給が受けられないニクソン、どちらも負けるとこの後の人生はない。綿密なリサーチに基づいた言葉だけを武器に、じりじりと照らす照明とテレビカメラの前で、世界で一番静かな死闘が繰り広げられる。
絶対的優勢だったチャンピオンが、それまで負けっぱなしだった挑戦者の一撃で窮地に立たされる。そこから浮かび上がるのはチャンピオンの孤独さと後悔、一人の人生が終わる瞬間の顔。
この映画はもともと舞台のもので、2年にわたってロングランされていた大ヒット作を映画化したもの。主人公の二人も舞台の主役をそのまま起用している。監督は「アポロ13」など、実話映画化の名匠ロン・ハワード。真夜中の電話のシーンなどフィクションも混ぜられているが、インタビューは事実に基づいている。
ウォーターゲートつながりということで、一人ウォッチメン祭りの一環で見に行ったのですが、私はその人生の終わる瞬間の顔を見てぼろぼろ泣いてしまった。ローン・ガンメン的なブレーン陣も戦いを盛り上げてくれて、すごい役者のそろった素晴らしい映画だと思いました。ぜひ見てみてください。
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