海太郎さんのピアノがいかにステキかはいままでもさんざん言ってきましたが、海太郎さんがずっと大好きだったというトウヤマタケオさんとのセッションは想像を超える素晴らしさだった。なんで鍵盤押すだけの楽器がこんなに感情を揺さぶってくるのかしら?
二人の演奏は物語性があるっていうか、サントラっぽいと言われている模様。私にはそれがおもいっきり機能していて、なんかアホの子の感想で申し訳ないんですが、二人が鳴らすピアノの音を聞くと石畳の道とかガス灯の明かりとかポンピドゥーのてっぺんから見た町並みとか、ゴダールがリヴェットがロメールが撮っていたパリが脳裏にありありと浮かんでくる。
私の中で彼らのピアノの音とフランスの一都市の風景が強固に結びついているらしい。鳴らされる音が釣り針みたいな役割になって、私の中のパリの記憶をピンポイントで引っ掛けては目の前につきつけてくる(トウヤマさんの歌だと起こらない)。あの美しい街でいまも人々が歩いたり物を食べたりうれしかったり悲しい気持ちになったりして暮らしているが、私はそこにいないのだなあという、なんだか寂しいような絶妙に切ない気持ちになってくる。
私はおパリには観光で1回五日間行っただけなので思い出の量なんかたかが知れているし、現地で彼らのような音楽を聴いたわけでもなく、映画で同じような音楽が流れていた記憶もないのでどうしてそれが繋がるかは謎なんですが、そうやって感情を揺さぶられてしまうのが不思議だなあと思う。
海太郎さんがパリで音楽を勉強していたということだからだろうけど、ピアノの音を聞いた時に起こる感情とパリについて考えた時に起こる感情が似ているから脳がとり違えているのかな、とも考えたりして。そこまで思い入れを抱かせる都市もなんだか化け物みたいにすごいけど。とにかく、夢心地のライブでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿