2011年1月2日日曜日
アルノー・デプレシャン監督「クリスマス・ストーリー」
『キングス&クイーン』(2004)が死ぬほどすばらしかったフランスのアルノー・デプレシャン監督最新作。デプレシャン監督といえば、「魂を救え!」「そして僕は恋をする」などで“トリュフォーの再来”“カラックスを凌ぐ映像作家”と謳われ一世を風靡した映画作家。久々の新作で期待が高まりまくり、閉館間際の恵比寿ガーデンシネマで鑑賞。
内容はフランスの田舎町の大家族のクリスマス期の群像劇。「キングス&クイーン」と同じく家族間の断絶を描いているが、独白形式が多用されるために前回の映画にあった鮮烈なインパクト、濃厚なタブー色は残念ながら色褪せている。さらに今回残念だったのはデプレシャン組の俳優たちと作品の乖離。あれから007にも出演し、自らも監督として活躍するマチュー・アマルリックはなんだか居心地が悪そうで、デプレシャン作品には欠かせないあき竹城風味のミューズ、エマニュエル・ドゥヴォスにいたっては台詞も少ないチョイ役である。これはさみしい。デプレシャンって性格超悪い説がフランスで流布していたが、きっとほんとにその通りなんだろうなあとぼーっと見ていた。
ということで2時間ちょいの上映時間中ガラガラのガーデンシネマで超ふてくされていたのだが、映画の終盤で胸を鷲掴みにされるシーンがあらわれた。それは家族が庭に集まり、花火を眺めるところから。寒空の中老いも若きも中庭のテラスに椅子を出してワインの瓶に差した花火を見るのだ。クリスマスのお祭り気分が、胸くそ悪い問題まみれの家族をつかのま癒していた。そして何より忘れられないのは、シルヴィア(キアラ・マストロヤンニ)が知る真実と、そこから彼女が「あなたは育つはずだったかもしれない愛を殺した」みたいなことを言うところ。ものすごく良かったなあ。このシーケンスは一生忘れないと思う。2時間寝てても、こういう一生忘れない一瞬を作りだせるデプレシャンはやっぱりすごいのかもしれない。
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